まえがき
ここ1, 2年でRTAに興味を持つ人が急増したように感じる。
esportsの影響で『RTA』という単語が世に広がっているのか、RTAイベントがにぎわって注目されているからなのか……。
原因は不明だが、この機に「自分のRTAの人口を増やしたい!」とたくらむ方は数多くいることだろう。
今回はそんな方に向けて、人口を増やすための私的考えを紹介する。
一応話しておくと、内容は意外と真面目だが、真面目に捉える必要はないので、「なるほどね」ぐらいで読んでくれれば良いと思う。
※無理やり言語化したので、少し読みにくいかもしれない。
※記事の最後に要点をまとめたので、よく分からなかった方はそれを読んでほしい。
漠然と何かをしても人口は増えない!
よく誤解している方がいるのだが、例えば、
「〇〇のRTAを始めるための環境のそろえ方を記事にする」
「初心者の配信へ行きアドバイスする」
などのアクションは、それ単体だけでは大きな意味を成さないため、人口を増やすのに貢献した気になっているだけだ。
真の意味で自分のRTAの人口を増やしたいのなら、目的に対してアクションを起こす必要がある。
私は、自分のRTAの人口を増やすためのアクションは以下の3つに分けられると考えている。
・レベル1: そのRTAを始めるきっかけを作るアクション
・レベル2: そのRTAに興味を持った人にあと一押しするアクション
・レベル3: 根付かせるアクション
例えば、RTAを全く知らない人が、SNSをきっかけにRTAイベントを見たとしよう。
この時、RTAプレイヤーが華麗な走りを見せて「やってみたいな!」と思わせるアクションがレベル1。
「やってみたいな!」となった人に、「こういう道具があればRTAできるよ」というような具体的なTODOを教えてあげるアクションがレベル2。
RTAを始めたばかりの人に「〇〇を取り入れたほうがいいかも」とアドバイスして上達モチベを刺激して長く続けてもらうアクションがレベル3。
……みたいな感じだ。
以降のセクションで、それぞれを詳しく説明しよう。
レベル1: そのRTAを始めるきっかけを作るアクション
レベル1のアクションの目的は、多くの人にそのRTAに興味を持ってもらうことだ。
この目的を達成するための具体的なアクションは、
・RTAイベントで自分のRTAを披露し宣伝する
・大衆が見るサイトなどで自分のRTAの魅力を記事にする
・有名なYouTuberに自分のRTAを走ってもらう
などある。
私の活動においては『RTA自体に興味のある方に向けて、マリオ64のニュース記事などを書く』というアクションがこのレベル1に当たる。
具体的なアクションは各自で考えてほしいが、これらアクションに共通しているのが『そのRTAの魅力を伝える』という点だ。
例えば、あなたが友人に『山登り』の趣味を勧めるとしよう。
その時、
「山に登るためには、リュック、靴下、登山靴などが必要だよ」
「登山靴は防水性があるものがオススメだよ」
というようなことをいきなり話しても、相手からすれば「いや、山登りなんて興味無いし……」となるはずだ。
RTAに限らず、その趣味に没頭している人は、
「自分がやっている趣味を〇〇さんにもやってほしい!」
という前のめりの気持ちが強く出てしまい、趣味の魅力を伝えること(レベル1)をすっ飛ばして、始めるためのTODO(レベル2)だけを教えてしまいがちになる。
仮にこの方法でその友人が趣味を始めてくれたとしても、魅力に気づけずに飽きてやめてしまう可能性が高いだろう。
つまり、
・〇〇のRTAはこんな面白い歴史があるんだよ!
・最近革命的なルートが見つかったよ!
・すきま時間で通せるからオススメだよ!
のような、自分がやっているRTAの魅力(面白さ)を伝えることで、興味を持ってもらう(RTAを始めるきっかけを作る)アクションがレベル1となる。
レベル2: そのRTAに興味を持った人にあと一押しするアクション
レベル2のアクションの目的は、興味を持った人にそのRTAを始めてもらうことだ。
この目的を達成するための具体的なアクションは、例えば
・そのRTAを始めるために必要な道具などを記事(文章)で伝える
・道具がそろったら何をすれば良いかを動画などで伝える
というようなアクションで、共通しているのが『そのRTAを始めるためのTODOを教える』という点である。
私の活動においてはマリオ64RTAインフォで書いている『初心者ガイド』がこのレベル2に当たる。
あと一押しするのにTODOを教えるのが効果的な理由は、一般的に、人は新しく何かを始める時、始めに何をすればよいのか分からないと後回しにしてしまう習性があるからである。
逆にTODOが明確に分かっていると「やってみようかな」となり、始めてくれる可能性が高いのだ。
上級者からすると、「丁寧に教えるのは面倒くさい……」と思ってしまうかもしれない。
しかし、自分のRTAを始めてくれるかどうかを決める一手がレベル2なので、ここも手を抜くべきではないと私は考えている。
このレベル2で特に意識してほしいのが、知識を羅列するのではなく、興味を持った人をしっかりガイドする(手引きする)という点だ。
例えば、あなたがマリオ64RTAを始めるために必要なものを私に尋ねたとしよう。
そんな時に、以下のように回答されたらどう思うだろうか。
「日本語初期版はJ1.0と呼ばれていて、16枚RTAや120枚RTAだと最速だよ」
「70枚RTAで上位を目指すならUS版を買うのも視野に入れといたほうが良いよ」
「US版は日本では手に入らないから海外のネットショップで買う必要があるよ」
「N64コンを使う人が多いけど、クッパを回す時だけHORIコンを使う人も結構いるよ」
「練習用にGameSharkやEver Drive-64があったほうが良いかも。これらツールを使うならメモリ拡張パックが必要だよ」
……
言う必要は無いと思うが、この回答はただの知識の羅列なので、「結局何が必要なの?」となるはずだ。
下手をしたら、「意外と面倒くさそうだな」と思われて逃げられてしまう可能性まである。
実際、SNSなどで出回っている『〇〇のRTAの環境導入』と名乗るページを見ると、上記のような知識の羅列になっていることがある。
これでは、このページをしっかり読んで解釈してくれる人間以外は、RTAを始めてくれないだろう。
こんなことを言うと、「でも自分がやっているRTAはカテゴリがたくさんあって、カテゴリによってバージョンが違うからちゃんと説明しないといけない」みたいな反論が来るかもしれない。
その場合は、「最初は一番簡単な〇〇のカテゴリにチャレンジすることをオススメします」という前提をもとに、バージョンを決め打ちしてしまえば良い。
例えばマリオ64RTAの場合、一番通しやすいのが16枚RTAとなっている。
なので、私が書いた『初心者ガイド』では、最初に16枚RTAをやることをオススメしており、16枚RTAを始めるために必要な道具や知識だけを軽く紹介している。
こうすることで、「これをそろえるだけでマリオ64のRTA始められるんだ。ちょっとやってみようかな」と前向きに捉えてもらえるし、ガイドに従うだけで良い(≒頭を使わなくて良い)ので、「準備が面倒だな」と思われることも少なくなる。
この点は、『〇〇のRTAの環境導入』を書いている多くの人が反省すべき点だと私は思っているので、ぜひ意識してもらいたい。
レベル3: 根付かせるアクション
レベル3のアクションの目的は、一度RTAを始めた人に長く続けてもらうことだ。
この目的を達成するための具体的なアクションは
・SNSなどで記録を見せあって切磋琢磨する
・配信などでアドバイスをして、上達モチベを刺激する
など様々あると思うが、共通しているのが『モチベを維持させる』という点だ。
これは多くのRTAプレイヤーが日頃からやっていることだと思うので、(その人たちに任せて)私は特に力を入れていない。
強いて言うのなら、アイデアを作ったり、考察記事を書いたりするのがレベル3に当たるだろう。
レベル3における私なりの注意点は『しつこくしないこと』だと思う。
誰だってモチベが出ないときはあると思う(私は無いけど)し、そういう時に無理やりやらせると余計にやりたくなくなってしまうのではないかと思う。
あくまで自然体で、やる気に満ち溢れている時は一緒にモチベを高め、やる気がなさそうな時はそっとしてあげるのが良いのではないだろうか。
各レベルを万遍なくこなさないといけない
例えば「レベル1のアクションだけに注力する」というのでは『自分のRTAの人口を増やす』という最終目標に繋がらない。
各レベルのアクションを万遍なくこなすことで最終目標に繋がるのである。
なので、本気で自分のRTAの人口を増やしたいのなら、各レベルごとに何かしらのアクションを起こすべきだと思うが、そうはいっても時間は有限なので難しいと思う。
そこでオススメしたいのが『分担』という考え方だ。
例えば、私であれば、レベル1, 2は注力しているが、レベル3は特に力を入れていない。
この理由は先で述べた通り、他のマリオ64プレイヤー達が(無意識かもしれないが)レベル3をやってくれているからである。
こんな感じで、人口を増やしたい者同士で分担するのが良いと思う。
分担するかはともかくとして、「レベル1は全くやってないけど、レベル3は100点満点」みたいなアンバランスな状態になっている人は、(自分のRTAの人口を増やしたいのなら)一度考え直したほうが良いだろう。
むすび
今回紹介した『アクションを3つに分ける考え方』はRTA以外の趣味の人口を増やすためにも役立つかもしれない。
ただ、もし他の趣味にこの考え方を適用するなら、『どのレベルに力を入れるか』を見極めるべきだと思う。
例えば、「テニスの人口を増やしたい!」となった場合。
テニスぐらい有名なスポーツならレベル1は何もしなくても勝手に達成するはずだ。なので、レベル2や3に注力するべきである。
(RTAの場合は情報が不足しているレベル1, 2に注力するべきで、レベル3は他のRTAプレイヤー達が無意識にやってくれるから勝手に達成すると思う)
最後に予防線を張って終わりにする。
この考え方はあくまで私の感想レベルのものであり、若干ふざけて書いているので、『この考え方を意識すれば人口が必ず増える』わけではないということだけは理解しておいてほしい。
補足: よく分からないから要点だけまとめてくれ!
自分のRTAの人口を増やすためのアクションは様々あるが、以下の3つに分けることができる。
・レベル1: そのRTAを始めるきっかけを作るアクション
例. 『RTAイベントで自分のRTAを披露し宣伝する』
・レベル2: そのRTAに興味を持った人にあと一押しするアクション
例. 『そのRTAを始めるために必要な道具などを記事(文章)で伝える』
・レベル3: 根付かせるアクション
例. 『SNSなどで記録を見せあって切磋琢磨する』
本当に自分のRTAの人口を増やしたいのなら、各レベルのアクションを万遍なく行なったほうが良い。その理由は以下。
例. レベル1のアクションしかしない場合
「〇〇のRTAに興味が湧いてきた!」という人にアプローチをかけられないので、RTAを始めてもらえずに終わってしまうから。
例. レベル2や3のアクションしかしない場合
そもそも〇〇のRTAに興味の湧くきっかけができないから。(どんなに良い『初心者向け導入資料』を作っても宝の持ち腐れになってしまう)