まえがき
最近巷では、「初心者でもGS・EDがあったら便利?」のような質問が飛び交っていると耳にすることがある。
私としては「人に聞くな、自分で考えろ」という感じなのだが……、こう言うと話が終わってしまうので、これはひとまず置いておいて。
今回は、GS・ED無し時代を経験している私から見たメリット・デメリットを書いてみることにする。
悩んでいる人の判断材料になれば幸いだ。
※GS = GameShark、ED = EverDrive-64のこと。
メリット
まずは代表的なメリットを述べよう。
当たり前すぎる内容なので、大半の方が知っているかもしれない。
(1) 練習効率が悪いスターの練習が楽しくなる!
やはり最大のメリットと言えばこれではないだろうか。
私が練習効率が悪すぎてイラついたスターのひとつに『メタルスイッチの滝』がある。
どうしてこのスターの練習効率が悪いのか――。
それは以下3つの理由がある。
・ステージに入るのに『闇に溶ける洞窟』を経由しなければならないから。
・最初のメタルマリオの状態が切れると練習にならないから。
・『メタルスイッチの滝』から城内に戻るには、スターを回収するか、コースから出るしかないから。(ガスマスクヘイホーの攻撃を待つと時間がかかる)
現にGS・EDを持っていないあなたは、このスターの効率の悪さにイラついているはずだ。
逆に、はじめからGS・EDを使ってこのスターを練習している人は、このイライラを体験できずにかわいそうなので、練習時のフローを見せよう。
① 『闇に溶ける洞窟』に入場し、『メタルスイッチの滝』へ向かう。(18秒)
② ステージ内でミスして「やり直したい!」となる。
③ コースから出て、再度『闇に溶ける洞窟』へ向かう。(27秒)
④『闇に溶ける洞窟』に入場し、『メタルスイッチの滝』へ向かう。(18秒)
……以下繰り返し
なんとなくイメージできただろうか。1回練習するのに45秒も時間を要することを理解できただろうか。
「別に面倒そうには見えないけど」と思った人は、GS・EDを使う必要はないので、今すぐゴミ箱へ捨てるべきである。
3階にある『虹かける羽マリオ』などもこんな感じの効率になるので、1日ずっとそのスターを練習したとしても全然試行回数を稼ぐことはできない。
それゆえ、『練習したくないスター』になってしまうわけだ。
だが、GS・EDを使えば、こういうスターも効率よく練習できるので、『練習が楽しいスター』に変貌を遂げるのである。
(2) 長いスターを練習するときに便利!
GS・EDを使うと『ゲーム内タイマー』を表示させることができる。
このタイマーが死ぬほど便利であり、マリオ64RTAを急成長させた一因と言っても過言ではないほどだ。
このタイマーは、特に時間のかかるスター(長いスター)を練習する時に力を発揮する。
例えば、『あっちっち砂漠の100枚+シークレットスター』。
このスターは、大きく『ピラミッドに入るまで』と『ピラミッドの内部』で分かれ、具体的な目安例は以下となっている。
・ピラミッドに入るまでは1分を切っていれば速い。
・ピラミッド内部は50秒を切っていれば速い。
ゲーム内タイマーを見れば、これら目安からどれぐらいかけ離れているかをリアルタイムで確認できるのだ。
GS・EDが無かった時代は、毎回タイマーを動かして計測するか、動画編集ソフトで確認するしかなく、リアルタイム性に乏しかった。
GS・EDが出て、リアルタイムで気軽にタイムを知れるようになり、「自分はピラミッドに入るまでが遅いんだな、どこが悪いんだろう」などと疑問を持てるようになったため、手軽にタイム短縮できるようになったわけだ。
(3) 部分練習・調査時に便利なセーブステートがある
GS・EDでは、セーブステートコードを使うことができる。
このコードは、実機(N64)で部分練習したり、色々調べたりする時に便利なものとなっている。
代表的な使い方は、
・「途中でセーブを取ってそこから練習する」
・「うまく通せた場合のタイムを確認する」
といった使い方だろうか。
GS・EDが無かった時代では、エミュレータを使わないとこういうことはできなかったのが、それが実機でもできるようになった。
私は地味なメリット(機能)に感じているが、マリオ64プレイヤー的にはかなり役立っていると思う。
デメリット
デメリットというよりは『GS・EDを使う上での注意点』になる。
以下で述べる内容は、この記事内で最も重要であり、この内容を理解した上で使ってもらいたいと思っている。
(1) 「何も考えずにひたすら試行する」(通称『感覚派脳筋』)になりやすい
初心者のうちからGS・EDを使っていると陥りやすいのがこれだ。
練習効率がよくなると、練習時の1回ずつの試行を大切にしなくなる傾向があり、
・「どこを目印にどういう入力をするか」
・「くぼみ入力でいけるか・いけないか」
といった当たり前のことを考えなくなってしまう。
考えないだけならまだ良いのだが(いやそれも悪いんだけど)、最も悪いのは「長時間ひたすら試行して練習した気になる」という、RTA練習で最もやってはいけない愚行に走ってしまうことだ。
GS・EDは『より早く自分の限界値へたどり着くためのツール』だと私は考えている。
例えば、120枚RTAで『1時間45分00秒』を出せるポテンシャルを持ったプレイヤーがいた場合、
・GS・ED無しだと3年かかって『1時間45分00秒』が出るが、
・GS・ED有りだと1年程度で『1時間45分00秒』が出る
みたいな感じだ。
逆に『1時間45分00秒』から『1時間40分00秒』へ限界値を伸ばすにはどうしたらよいのかというと、最も効果があるのは『ルートやアプローチを変える』だが、それ以外にも『目印を作る・くぼみ入力を使うことでミスを減らす&安定して速いタイムを出せるようにする』などがある。
これらはGS・EDがあろうとなかろうと同じ事で、頭を使わなければならない部分だと思っている。
『より早く自分の限界値へたどり着くためのツール』という考え方は自論なのでともかくとして、『普段の練習・調査の効率が上がる』ぐらいの認識で使うことをオススメする。(つまり、考える部分は放棄してはならない)
(2) リカバリ難民になりやすい
これは、初心者~上級者問わず当てはまる話だ。
GS・EDを使うと、練習時に「失敗したらレベルリセット(やり直し)」が染みつくようになり、想定外の場所で失敗した時のリカバリが咄嗟にできなくなる傾向にある。
長い間GS・ED無しを経験しているプレイヤーと、そうでないプレイヤーのRTAの通しなどをじっくり見てみると分かるんじゃないかと思う。
前者は、決められたルートやよくあるリカバリ以外の動きも練習時に経験しているため、咄嗟のリカバリがうまい人が多い。
逆に、後者は、そういった練習をしていない傾向にあるので、想定外のリカバリを求められるとグダグダになってしまうことが多い。
(ミスらないのが一番なのは言うまでもないが)
こういう想定外の場面を見かけると、「GS・ED無しの練習も大事なのでは」と思うこともあるが、練習効率を考えると……、難しい話だ。
(3) タダのものにケチをつけるようになる
GSコードやうさむねROMは、有志の厚意によって作られている。
それなのに、フリーズしたり、ちょっとバグったりすると「不良品だ」と言わんばかりにケチをつける人がときどきいる。
もともと本家にはない動作を無理やり組み込んでいるので、バグったりするのは仕方がないことなのだが……。それが分からないのなら、GS・EDは使わずに本家ROMで練習したほうが良いだろう。
こんな感じで、GS・EDを使い始めると『有志の厚意によって作られたものに対してケチをつける』という貧しい心になりかねないので、この点も考慮して使用を検討してほしい。
むすび
あまりにも駄文すぎるので、この記事をお蔵入りにするかどうか悩んでいたのだが、せっかく書いたので公開することにした。
感覚派脳筋のごとく、自分の思うままに書いたので、知的な文章とは言えないが、 ゆるしてほしい。
一応、最後にひとつ真面目な話をする。
GS・EDはあくまで練習用の道具なので、「GS・EDを使ったから絶対に記録が伸びる」みたいな、そんな魔法の道具のような効果はない。
また、「GS・ED無しでその自己べはすごい!」とか「GS・ED有りでその自己べは遅い!」とかそういうことも無い。
『GS・EDは練習用の道具』――、これだけは肝に銘じてほしいと思っている。