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【雑記】RTA解説におけるオススメしたい超重要なコツ3つ

まえがき

2022年8月14日。『RTA in Japan 2022 Summer』にて、『スーパーマリオオデッセイ Any%RTA』が披露された。

走者はごりゅや氏で、解説はりるれ氏。

www.youtube.com

本番では、ごりゅや氏による圧巻の走りと、りるれ氏による素晴らしい解説により、リアルタイム視聴者数がモリモリと増えて、最大8.5万人にまで登る結果となった。

この視聴者数は、大トリの『ドラゴンクエストⅢ』に次ぐ2番目に高い数字だ。

また、イベント全体を通して視聴者数は5万前後をウロチョロしており、視聴者数の多いゲームでも7万人程度だったことからも、このマリオデがいかに多くの視聴者を釘付けにしたかが分かるだろう。

※具体的な数字はTwitchTrackerで見ることができる。

 

こんな多くの視聴者を釘付けにできた理由は、ごりゅや氏の走りはもちろん、りるれ氏の分かりやすい解説にもあったと考えている。(もちろんマリオデがメジャータイトルであるということも忘れてはならないが)

で、実は、私は以前にごりゅや氏から「解説のコツは何か?」と質問を受けていて、そこで「とりあえずこれを解説しておけ!」と回答したことがある。

そして、その回答内容がりるれ氏の解説に盛り込まれていたのである。

つまりは、マリオ64での解説のコツがマリオデでも通用したわけなので、少なくとも3Dマリオ系ならば、同じ解説方法で盛り上げることができるのではないかと思い、この記事を書くことにした。

ということで、「とりあえずこれをやっとけ!」的な重要なコツ3つを紹介しよう。

 

1. RTA技の解説を厚くする

3Dマリオ系はとにかくRTA技が多い。その1つ1つを強調するのが重要だ。

強調するために、解説するべき主な情報は以下4つある。

- その技を一言で説明すると?
- その技で何秒短縮できるか。ミスしたら何秒ロスするか。
- その技の難易度はどれぐらいか。猶予何フレームか。

- その技はいつ・誰によって見つかったか。実用化されたか。

↑の情報を解説することで、RTA技の積み重ねが速いタイムの実現に繋がっていることを視聴者に伝えることができる。

特に「○秒」「○フレーム」といった数字に関する情報は視聴者がコメントで反応しやすいので、ふんだんに入れることをオススメしたい。

 

実際、私が↑の情報を含めた解説をした時に、視聴者の感想のひとつに以下のようなものがあった。

マリオ64は全く見たこと無かったけど、解説がめっちゃ分かりやすくて見入ってしまった。細かいタイム短縮の積み重ねが今のこの走りを実現しているんだなあ」

その感想をくれた人に軽く話しを聞いた感じでは、自分が知らないゲームのRTAでも、タイム短縮量を知ることでそのRTAの厚さを感じることができるようだ。

今回のりるれ氏の解説も↑を徹底しており、リアルタイムで視聴していた自分も同じ感想を抱いたので、結構多くの人に刺さる要素なのだと確信した。

ただ、困ったことに、↑の情報はそのゲームのRTAを知り尽くしていないと語れない情報となっている。走者でも知らない場合が多いと思う。

なので、解説するために自分の手でタイムを比較してみたり、歴史を遡ってみたりする必要が出てくるだろう。(少なくとも自分はそうしている)

 

一応補足として話しておくと、このコツを実践するとひとつ困ることが起きる。

それは『1つのRTA技の解説が長すぎて、解説しているうちにゲーム画面はすでに次のスター(区間)に入っている問題』だ。

だが、これは特に気にせず解説し続けることをオススメしたい。

その理由は、視聴者からすると、浅い解説を複数個するよりも、その時間を使って深い解説を1個するほうが印象に残るし理解もしやすいからだ。

例えば、

「今、Aという技をして○秒短縮しました。そして、Bという技もやって○秒短縮し、さらにCという技も決めて○秒短縮しました」

という感じで、浅い解説を3つしたとしよう。この場合、視聴者からすると印象に残りにくいし、情報が短時間で3つも出てくるので理解するのをやめてしまう恐れがある。

しかし、

「今、Aという技をして○秒短縮しました。これはXXXX年に○○さんが見つけたものなのですが、1フレームしか猶予が無いので、当時はRTAでは使えないだろうと言われていました。しかし、記録が煮詰まってきたことから、現在はRTAで採用するようになりました」

といった少し長めの解説をした場合は印象に残りやすいし、話題をAという技のみに絞っているため理解が追い付きやすい。

つまりは「本番でそのRTAの全てを解説することは諦めろ!」ということだ。

本番の機会はなかなか無いので、そのRTAの全てを語りたくなる気持ちは分かる。

だが、"時間"はその気持ちを無視して進むので、全てを解説することは諦めて、印象に残りそうな深めの内容をメインに解説することを心がけるべきである。

 

2. 凄いプレイの前に必ず予告をする

3Dマリオ系のRTAに限らない話だが、凄いプレイや凄いRTA技にチャレンジする前は早口になっても良いので必ず予告をしたほうが良い。

予告とは、

「皆さん、この後に注目です!」
「この後、○○という技をやるので、決まるかに注目しましょう!」

のような掛け声のことだ。

この掛け声をすることで、そのRTAに詳しくない視聴者でも「この後何か凄いことをするんだな」とゲーム画面を注意深く見るようになる。

そして、走者が技を決めたとしたら「すごい!」となるわけだ。

 

予告が重要な理由は2つある。

1つ目は、凄腕の走者だと難しい技をサラッと決めたりするので、視聴者が見逃してしまう恐れがあるという理由だ。

せっかくの注目ポイントなのに、見逃したらそのRTAの面白さが半減してしまう。それを避けるためにも予告は必須である。

続いて2つ目は、あとから解説されても、視聴者はその動きを覚えていないことが多いという理由だ。

これは、RTAイベントを視聴している人なら分かると思う。

全然詳しくないRTAを視聴する場合、RTA技が決まった後に解説されても、その動きを覚えていないことが多いので、解説の意味が分からないのだ。(インパクトのある動きなら覚えているが)

なので、必ず予告をして、視聴者にゲーム画面を注意深く見てもらうよう誘導しよう。

 

ただ、RTAによっては、走者が次に何をするか分からないために予告が難しい場合がある。

そういう場合は、LiveSplitの区間割で、その区間に入った時に予告を1回挟むのが良い手だと思う。

マリオ64の120枚RTAで例えると、次に『あっちっちさばく』へ行くとすれば、

「次はあっちっちさばくに向かいます。ここでは赤コインスターを回収する時に"慣性羽"というテクニックを使うのですが、それがめっちゃカッコよくて最も見て欲しいポイントとなっております」

といった予告を挟む。

そうすれば、仮に慣性羽の予告を忘れたとしても、視聴者が「あ、これがさっき言ってた"慣性羽"なのかな?」と気づいてくれる可能性が出てくる。

この可能性を作るためにも、その区間に入った時の予告は有効だと考えている。

 

余談にはなるが、解説で予告ができる点はRTAならではだと思う。

格ゲーなどの大会では、一般的には物事が起こってから解説する流れだが、RTAではルートが決まっているが故に物事が起こる前から解説することができる。

この点を最大限活かし、余裕のある時間を使って事前に解説しておくことで、該当シーン時の解説が混雑しなくなるため、ゲーム画面に集中してもらうことができる。

RTAの解説では、この『時間 対 情報量』の意識も大事だと思う。

 

3. その走者の特徴を解説に入れる

実は上記で説明した1.や2.だけでは、誰が走っても同じような解説になる可能性が高い。

それを回避するために、その走者の特徴を解説に入れることをオススメしたい。

これにより、解説にオリジナリティが生まれる上、視聴者がその走者がどんな人なのかを知ることができて、それがより視聴を面白いものにするのだ。

 

例えば、

「ここではAというルートを使うのが一般的ですが、○○さん(走者)はそれよりも○秒速いSというルートを使っています。こういう速いルートを積極的に採用しているのが○○さんのすごさです」

といった特徴を話した場合、視聴者へ「○○さんは攻めるタイプの走者」と印象付けることができる。

結果、視聴者はその印象を持ちながら視聴し続けることになるため、プレイがよりレベルの高いものだと感じるようになるだろう。

今回のマリオデで言えば、

- ごりゅや氏は走者では珍しくジョイコンを使っている。
- ごりゅや氏はスプラトゥーンでエイム練習している。(ハナチャン討伐時にて)

といった話が走者の特徴の解説に当たると思う。

これにより、「相当なエイム力があるんだろうな」「別ゲーもRTAの練習に使うなんてガチすぎるな」といった印象を持たせられたと思うし、より走者への愛着が湧く情報だったと感じられた。

 

ということで、どんな情報でも良いので、とにかく走者のRTAに関する特徴を解説に入れ、ここでしか聞けない解説(その走者が走るからこその解説)をするように心がけることをオススメしたい。

 

むすび

他にも色々コツはあるが、↑のコツ3つを取り入れるだけで、取り入れない場合よりも10倍以上は面白い解説ができると思う。

だが、忘れないで欲しいのは、解説も練習必須だということだ。走者が通し練習するのと同様に、解説も通し練習が必要なのだ。

自分の解説経験からすると、どんなに長いRTAでも最低2回は通しで練習するべきだと思う。(少なくとも自分はそうしている)

また、解説練習する際は、同じ動画を何度も使って練習するのではなく、走者の配信の最新のアーカイブを使ったりするなど、動画を変えて練習したほうが良い。

理由は、咄嗟のアドリブ解説もできるようにしておいたほうが良いからである。本番では普段はあまり見かけないミスが起こりやすく、その時にアドリブでの解説が要求される。

なので、色々な動画(未視聴の動画)を使って、想定外のことが起こった時にアドリブで解説できるように練習したほうが良い。

 

以上が今回の内容で、まとめると

『↑のコツ3つを捉えつつ解説内容を決め、解説練習をして内容を調整する』

というのが自分がよくやっている解説方法であり、少なくとも3Dマリオ系の解説でオススメしたい方法となっている。

RTAの解説経験者なら多くの人が知っている方法だとは思うが、知らない人は取り入れることを強くオススメする。